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ひかりの記憶

わたしの地元である長崎では、お盆にちょっと変わった風習があります。

 

お墓参りの際は行く前に大量の花火を買い、お参り後に『ご先祖さんに見せてやんなさい』と明るいうちでもお墓で花火をするのです。手持ち花火にネズミ花火、ロケット花火(やびや、と呼んでいました)、時には爆竹、〆はしっとり線香花火…小さい頃は、それがとても楽しみでした。蚊に刺されても風下で煙に巻かれても、色とりどりに変化する光にときめく気持ちと、やびやの行く先に見上げた、抜けるような青空の美しさを今でも覚えています。

今、照明デザイナーという光に関わる仕事をしている動機はこの記憶かもしれません。
生活の地での忘れられない体験が大きくなっても心に残り、感動を共有したいという想いが行動の原点となっています。

実は、地元を離れるまでは冒頭の風習は全国共通のことだとすっかり思っていました。驚きとともに、貴重な体験だったという気づきはより深い愛着へ変わったと感じています。


そして、それは建築やまちにも言えること。住んで約10年になる福岡でも、FAFでの活動を通して知ることが多く、建築やデザインを学ぶ身として勉強不足を痛感します。福岡には愛すべきものがたくさんありますが、どれだけ貴重なものかを知り、そしてその空間・場所・時間を体験しないとわからないのです。

FAFには、まさにその体験の場となる建築ツアーやKid’s MAT、人と出会うサロン、ものをつくる喜びを感じるワークショップなど、たくさんの素晴らしい機会があります。そしてその窓口であるホームページも、広く開かれた場として着々と拡大中です。FAFを通して出会う建築やまちなみが、参加した人たちの様々な記憶の手がかりとなって福岡というまちを愛することにつながってゆき、まちを支える世代が育つ、そんな土壌になればよいと願っています。

さて、今年の夏はどう過ごしましょうか。考えるだけでわくわくしますね。

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