風景としての建築



中学生の頃、何かのテレビ番組で見た公園。
高層ビルの中に水と緑があって、ジョギング、散歩、休憩している人など、
老若男女問わず多くの人たちに憩いの場を提供していて、カッコイイなぁと思ったものでした。
少し経ってからそれがセントラルパークだと知りました。
今、頭にあるイメージだけでスケッチすると、こんな感じです。
1分間くらいでやってみます。




できあがり。

僕の絵の適当さはさておき、森からビルがニョキニョキと生えているのが印象的です。
都市と自然が後ろと手前に同時に見えて面白いですね。
では福岡はどうでしょうか。気持ちの良い公園の一つに大濠公園があります。
九州随一の都市部にありながら、水と緑、施設も豊かな公園なので、
朝早くのラジオ体操から深夜のジョギングまで人が絶えず、
私もよく散歩したり、子供と遊んだりしたものです。
この公園を同じようにスケッチするとこんな感じです。懲りずに1分スケッチしてみます。




完成!

水と木々と空。ビルが立ち並んだセントラルパークとは随分違う印象です。
ただ、大濠公園には大きな建物がないかというと、そうではないですよね。
スケッチにもものすごく小さく描いたのですが、公園の中には「福岡市美術館」があります。
FAFの建築ツアー「MAT fukuoka」でも何度か巡った建物です。
さてみなさん、福岡市美術館はどのような建物だったか頭の中のイメージだけでスケッチできますか?
あの階段とか、ホールとか、部分部分は思い出しても、きっと全体像をスケッチできる人って少ないのでは。
早速スケッチしてみます。
うーん。格段に難しい。




完成!

・・・手を抜いたわけではないです。

エントランスとか、ホールとか、部分部分はもっと記憶にあるのですが、
全体像を書くのは本当に難しいですね。ほとんど木々に隠れていますし。
遠くから見れば屋根が見えますが、近くからだと、壁が見えるだけですし。
福岡市美術館ができた80年代は、ガンダムみたいな建築も沢山できるような時代でした。
しかし、この福岡市美術館はどうでしょう。よーく観察しないと全体がわからない不思議な建物です。
この美術館が小さいわけではなくて、当時としてはとても大きくて
設計者の前川國男もどうやって木々の中におさめるか困ったくらいだったのに、こんなに小さく感じます。
大きくて話題と言えば、2020年の東京オリンピックにむけて国立競技場に、ザハの案が選ばれました。
担当者が「このエリアに活力を与える」と言っているように、すごい迫力です。
さすがに東京クラスの大都市じゃないと実現出来ないでしょうから、個人的には見てみたいという気もします。
美術館とは用途は全然違いますが、ランドマークとしてわかりやすい建築が必要な場合もあるかもしれませんね。
そんな新国立競技場をスケッチする前に、よく目にするパースを見て(カンニング)、
おおよそ覚えてからスケッチ開始!



完成!

スケッチの出来不出来は問わないでください。
こうやってスケッチしてみると、新国立競技場案と違って、
福岡市美術館は風景のような建築なのだなぁって感じますね。
スケッチにしにくい、写真に収めにくい建築って、メディアにのせての評価が難しいです。
体験しなければ伝わらない事が多いですから。
それでも大濠公園が美しいなと感じるのは、いや、福岡が美しいなと感じるのは、
風景のような建築がそこにあるからかもしれません。
ジョギングや憩いと同じところに、当たり前のように風景としての建築がある、
都市の奥深さをたった1つの建築からも感じることができます。

私が福岡を離れて早2年。

住んでいた頃には当たり前のように感じていた風景が、特別な風景なのだと気づかされます。
特別な事は、よそ者ほど気づきやすく、当事者ほど気づきにくいものです。
しかしFAFの活動が主に福岡の人たちによってなされている、という所に福岡の可能性を感じています。
継続しながら、ますます魅力的な都市になるといいですね。

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