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​九州国立博物館

山並みを思わせる波打つ屋根、緑を映しこむ大ガラスで覆われた建築。展示品を守るため、免震構造も完備。

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「生きている博物館」への挑戦

太宰府の森に突如現れる巨大なガラスのヴォリューム。周囲の木々がその巨大なガラスに映り込んで森に溶込み、その迫力のある外観は訪れる人々の歩みを一瞬止めてしまうことでしょう。「学校より面白く、教科書より分かり易い」博物館を目標に掲げ、展示や保存といった一般的な活動の他にもイベントや文化体験など多目的な活動を積極的に導入し、博物館には今までにない新しい多くの試みがなされています。

​国立博物館の役割

九州国立博物館は東京、奈良、京都に次ぐ日本で4番目の国立博物館として、古くから政治の要衝となってきた太宰府に2004年に竣工しました。九州国立博物館には数多くの国宝や重要文化財があります。博物館にはそれら貴重な資料を大切に保存する役割があるため、周囲を事務室等、上部を展示室、下部を免震層として収蔵庫が直接外部と接しないように建物の中心に配置しています。さらに収蔵庫の壁は二重構造になっており、極力外部環境の影響を受けないようになっています。

​九州の材料がふんだんに

収蔵庫やエントランスホールの天井など、九州国立博物館には多くの木材が使用されており、九州各地から集められた木材は適材適所で活かされています。吸湿性が高く収蔵庫に大量に用いられている杉は小国や玖珠、熊本、八女などから集められました。エントランスホールの天井の丸太は福岡と宮崎県産の間伐材が使用されています。当初は平たく加工された木材で簀子(すのこ)状に計画されていましたが、設計者の菊竹氏の要望により丸太に変更され、その結果ホール内の雰囲気がとても優しい雰囲気に包まれています。

​偉大なる裏方と宝を守るテクノロジー

普段みなさんが目にする迫力のあるエントランスホールや、趣向を凝らした展覧会場が博物館の全てではありません。九州国立博物館はその裏側に11の部屋からなる大きな収蔵庫と修復施設を備えているのです。11の収蔵庫は温度・湿度が厳しく管理され、文化財に応じた環境がつくられています。修復施設では資料の研究や保存、傷んだ文化財の修復が修復装工師と呼ばれる職人さんたちの手で行われています。

また、建物を支える部分にはゴムやダンパーで出来た免震装置を用いて地震の揺れを吸収し大切な文化財を守る技術が導入されています。

分類:文化

竣工:2004年

設計者:菊竹清訓/菊竹清訓建築設計事務所

所在地:福岡県太宰府市石坂4-7-2

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